電動バイクは今後どうなる?現在の課題や注目すべきポイントとは
公開日:2022/11/25 最終更新日:2023/01/13
電気を動力源として動くバイクのことを電動バイク(二輪EV)といいます。東京都は都内で販売されるバイク(二輪車)を2035年までに100%非ガソリン化する方針を打ち出しました。これにより、これまで普及が進んでこなかった電動バイクに注目が集まっています。今回は電動バイクのメリットや課題、今後についてまとめます。
バイク2035年問題とは
2020年12月、東京都の小池都知事は、脱炭素化の実現に向けた東京都の方針説明の中で、2035年までに、都内で発売される二輪車の新車のすべてを非ガソリン化するとの目標を掲げました。中古車については言及していないので、これまでと同様に販売できる見通しですが、新車についてはガソリンエンジンを使用するバイクの購入ができなくなります。
国も2030年代に脱炭素化を進める方針を示しているため、2030年代には自動車やバイクの電動化が急速に進む可能性があります。こうした流れを受け、各メーカーは電動バイクの開発・生産に乗り出しています。
電動バイクならではのメリット
電動バイクならではのメリットは以下の5点です。
・温室効果ガスを排出しない
・駆動音が静かである
・普通充電対応車種は自宅で充電できる(電圧が100V対応の普通充電対応車種に限る)
・種類によっては補助金を利用できる
・燃料コストを抑えられる
1つ目のメリットは温室効果ガスを排出しないことです。従来型のガソリンエンジンとことなり、燃料を燃やさないため二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しません。また、電動バイクは排気ガスを排出しないので、大気を汚染することもなくなります。
2つ目のメリットは駆動音が静かであることです。バイクといえば、エンジン音や走行時に発する音などがうるさいというイメージがあるかもしれません。しかし、電動バイクは大きな音をほとんど出しません。電動バイクが普及すれば、バイクによる騒音は過去のものとなるかもしれません。
3つ目のメリットは自宅で充電できることです。電動バイクを動かすには外部の電源を使ってバッテリーを充電しなければなりません。充電方法には普通充電と急速充電がありますが、普通充電対応車種であれば自宅でも充電可能です。
4つ目のメリットは補助金を利用できることです(車種によります)。国や地方自治体はCO2の排出削減を加速するため、電気自動車や電動バイクの購入時に補助金を出しています。補助金を利用することで、購入費用を安く抑えることが可能です。
5つ目のメリットは燃料コストを抑えられることです。現在主流のガソリンエンジンと比較すると、電動バイクの燃費は2分の1から3分の1程度との試算もあり、ランニングコストをかなり抑制できると期待されています。
電動バイクには課題がある?
電動バイクの課題は3点です。1点目は航続距離が短いことです。ガソリンエンジンを搭載したバイクと比較すると、電動バイクの航続距離はかなり短いのが現状です。
2021年までに発売された電動バイクの航続距離は150km以下のものが大半でした。2022年に入ると航続距離が200kmを超える車種も登場しているため、今後はもっと航続距離が長い車種が登場するのではないでしょうか。
2点目は充電に時間がかかることです。たとえば、ハーレーダビッドソンのような大型電動バイクに充電する場合、普通充電なら12時間、急速充電でも1時間かかります。ガソリンエンジン車のようにすぐに満タンにすることはできないため、より計画的に充電しなければなりません。
3点目は価格が高いことです。これは、電気自動車でも同じことがいえますが、普及し始めのため販売価格が高く設定されています。ただ、価格については電動バイクの普及台数が増えると下落する可能性もあるため、徐々に解消されるかもしれません。
電動バイクの今後について
今後、今以上に電動バイクが普及するためにはバッテリーの性能向上と充電スポットの増設、販売価格の低下が必要です。バッテリーの性能が向上すれば、航続距離が伸びて課題の一つが解消されるからです。各社ともガソリンバイクの新車販売禁止を踏まえ、バッテリーの開発に力を注いでいるため、航続距離が延びると期待してよいでしょう。
充電スポットの増加と販売価格の低下は普及率と密接な関わりがあります。電動バイクの普及率が上がれば、充電スポットの需要が増加するため、ガソリンスタンドのように普及する可能性があります。電動バイクの利便性が向上すれば、販売台数が増えて価格の低下が期待できるでしょう。
まとめ
今回は電動バイクに大きな影響を与える2035年問題や電動バイクのメリット、問題点、今後についてまとめました。
温室効果ガスを排出せず音が静かな電動バイクには多くのメリットがある半面、航続距離の短さや充電にかかる時間、販売価格の高さなどがネックとなっています。これらの問題点を改善することで、電動バイクの普及率が上がるのではないでしょうか。